インバウンド

日仏実証実験第1弾
フランス人観光客のライフログ解析

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2015.08.11

訪日客のコミュニケーションストレス軽減を目指しライフログを収集・解析する実証実験を実施

東京オリンピック開催決定を受けて、外国語表示対応をはじめとする外国人観光客向け情報提供サービスの必要性が指摘されています。外国人観光客を受け入れる街にとって必要なのは単なる外国語表示対応だけではなく、言葉や文化の違いによるコミュニケーション・ストレスを軽減することで滞在中の行動範囲の拡大を支援するようなサービスが必要です。

そんなサービスを目指してイノラボは、大阪を訪れるフランス人観光客の行動ログを収集・解析する実証実験を2013年11月8日から18日まで行いました。これは大阪府と友好提携を結ぶフランス・バルドワーズ県との共同実験で、一般社団法人グランフロント大阪TMOおよび株式会社池田泉州銀行の協力のもと、また電通およびISIDがメンバーカンパニーとなっている米マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ、放送大学川原研究室の技術協力を得て実施しました。

実験参加者は、出発する空港で事前に発行されたICカードに、空港内に設置された専用デジタルサイネージで、日本での宿泊ホテルと両替予定の金額(日本円)等を登録します。日本に到着後、池田泉州銀行の外貨両替ショップに設置してあるデジタルサイネージにカードをかざすと、行員は登録情報をもとに、参加者の署名なしでスピーディに両替対応を行います。さらに登録情報をもとに、宿泊先ホテル行きのバス乗り場を案内したり、次の旅程や近隣のお勧め情報を母国で表示するというサービスも提供し、言語と両替のストレス軽減を図りました。

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フランスに限らず外国人観光客の多くは、出国時に両替する場合の為替レートが高かったり、日本到着後に両替する際申請用紙にサインする必要があったりと言う理由で、滞在中に現金を利用せずクレジットカードで支払う傾向にあります。このことが滞在中の活動範囲を、クレジットカードが利用できる店舗に限定している一因と考えられます。しかしこの実験では、日本円を手にした多くの実験参加者が現金の必要なパチンコ店や陶芸体験、お土産購入を積極的に楽しみました。両替の手続きをシンプルにすることが、フランス人の購買活動を活発化する1つのきっかけになりうると言えるでしょう。

text:鈴木淳一